2013年06月10日

【分析】と【事実】は違う

私は「アニメをお客さんにどう届けるか」をよく取材するのですが、ASCII.jpや日経ビジネスオンライン等での取材を通して、私の望みのひとつは「お客さんの心理が商品に反映される」ことにあるのだなと感じました。

それで、マーケティングの書籍を企画したのですが、
形にするのが難しくて難しくて。
なぜ形にできないのか、その理由が書籍の制作中はずっとわからないままでした。
でも最近、その答えのヒントを聞く機会が増えたように思います。
(脳にフラグが立つようになってきたのかもしれません)

先日、コワーキング(シェアオフィス)でIT系の仕事をされているTさんと話していて、Tさんが私にこう言いました。
「今、渡辺さんがお話してされているのは『分析』ですよね。さっきまでのは『事実』。
『分析』と『事実』は違いますよね」

あっ、そうか!
確かに私は、事実と分析の分離がうまくできていないときがあると気付きました。
実は私、アニメライターでありながら、「あらすじ」を書くのが苦手だったんです。
「『あらすじ』には、『事実』だけを書くこと。キャラクターの行動は書くべきだけど、キャラクター個人の心情を交ぜてはいけない」。
他の人に教えてもらって、ようやく『事実』と『思い』は分けるものなんだと気付きました。

さすがにアニメ分野ではもう大丈夫なんですが、新しい分野に挑戦するときは、事実と自分の感情と分析がごっちゃになってしまうことが多くて、それを意識して分けていくことが必要だと思いました。

タグ:分析 事実
posted by 渡辺由美子 at 15:25| Comment(0) | 考察

2013年06月01日

発想を人に伝えるためには【枠】に落とし込む その2

「発想を人に伝えるためには【枠】に落とし込む その1」からの続きです。

今日、人工知能の研究者である三宅陽一郎さんと、Twitterでやりとりしてみました。
三宅さんのつぶやき:「『いかにして無限を有限でおさえるか』 ー そう、それが人間が何かを作るということだ。いや、何かを行うということでさえある」
渡辺:「創造を、人の手に渡るもの――有限におさめるために『枠』を作ることが必要かなと。そして大勢の人が手に取れるのは『一定の法則を持った枠』。

三宅さん:「なるほど。枠、ですね。枠(フレーム)は人工知能が問題を捉える時の基本概念で、そこで文脈を設定して問題を記述します。スモールセオリーとも言いますが確かにあれも発散する状況の無限を有限におさえる仕組みです。」

「枠(フレーム)は人工知能が問題を捉える時の基本概念」。
そ、そうだったのかーー!
枠におさめる重要さを、さらに実感した気がします。

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ここでまた私の特性である「ぼんやり総論」を紹介します。

家会議にて。
私:「私のTwitter発言では、同じテーマを上げているときでも、リツイートの数が多いときと少ないときの差が極端に出るよ。なぜだろう?」
夫:「君の話は“ぼんやり総論”になりがち。『“どこでもドア”があったらすごい運輸ネットワークが作れる』と言う。だから『“どこでもドア”の代わりにこのシステムを使えばいいか』と脳内フラグが立つ人は共感してくれるけど、『“どこでもドア”なんてないじゃん』と深掘り各論で考える人が大半だから」。
はい…そうですね(げふっ)。
夫:「『現実』に持っていくためには、あと数手必要。現実化する方法を考える人には面白がってもらえるけど、そうでない人には個別具体的なキーワード(クールジャパンとか)を持ってこないとピンとこない」。

私の話はどうも大きなことを言っているらしいけど、骨組みがぼんやりとしていて、読者さんにとっては茫洋としすぎている。「ピンとくるとっかかり」が少ないみたいなんです。

現実味と具体性を持たせるためには、あと数手必要。
あれもこれも大事だと思うボトムアップ型の想像力は大きいけど、人に伝えるには、「わかりやすい具体的なフレーズ」で「テーマを絞って」「〈結論〉から先に言う」。そうしなければ伝わらない。
具体的も、テーマ絞りも、結論から先に言うも、すべては【枠(フレーム)】作りから始まるようです。

posted by 渡辺由美子 at 19:24| Comment(0) | 考察

発想を人に伝えるためには【枠】に落とし込む その1

昨日今日と、とても良い発見が続きました。
「概念的なことを人に伝えるにはどうすれば良いか」と言うことです。

私は今、知人が制作しているWebサービスについて一緒に考えているのですが、
そのサービスは、とある知識を共有するサイトで、共有するツールとして「フローチャート」が必要だと思っていました。
その話を、家会議(夫と私が相談することをそう呼んでいます)にかけたところ、
夫は「やりたいことはわかるけど、フローチャートにすると、一般の人は投稿できないよ」と言うのです。
「回答が無限に出そうなものをフローチャートにすると、無限に広がってしまう。だから「設問づくり」が要(かなめ)なんだけど、その設問は相当に練らないといけない類のものになる。だから、一般の人が投稿できるレベルにまで落とし込めない」ということでした。
フローチャートが無限に広がってしまう理由は、「インプットとアウトプットの枠が決まっていないから」とのこと。

その話から思い浮かんだのが、以前、『オタクの仕事術2』で書いたロジカルシンキングの話でした。
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ロジカルシンキングの考え方によると、思考法には、トップダウン(演繹法/抽象概念から具体化する)とボトムアップ(帰納法/具体的事象から抽象化)があるのだそう。

■ロジカルシンキング/ロジックツリー の例
家弓正彦氏ブログ「ロジックとパッションの狭間から。。。」2009年07月27日
質問するチカラ(2) 〜事前準備していますか?
http://kayumi.jp/archives/792413.html
※このサイトでは、「■ボトムアップとブレイクダウン」の項にくわしいです。
ブレイクダウン=トップダウンですね。

私は、「トップダウンとボトムアップ、どちらが得意かは人によって違うのではないか」と考えたのでした。
私は長文のインタビューを短くまとめる原稿が苦手です。どれもこれも大事な言葉のような気がして、なかなか削れません。
夫は、「トータルでワード6枚なら、3つお題を決めて各お題を2ページに収めていけば完成する」と言います。
私はその方法ではうまくいきませんでした。代わりに編み出したのが、「似ている内容の文章を寄せ集めて、幾つかの大テーマにしていくこと」でした。
全体からテーマごとに分割できる夫は、トップダウン思考。
細かい似た事象を寄せ集めて最終的に大きなカテゴリーを作っていく私は、ボトムアップ思考だったのです。

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ボトムアップ思考の私は「枠を作る」ことがとにかく苦手。だからフローチャートのような、一見枠に見えるものに惹かれて、でも夫に「それは全体を定量に入れる枠にはならない」と言われることになったのでした。

話は家会議に戻って、「ではフローチャートではなく、どんな方法が良いか?」という話になりました。
夫も「結局、何が一番やりたいかがわからないから……」と悩んでいましたが、私とのやりとりを何度も何度も繰り返して、
「もしかして、『ナレッジベース』を作りたいの?」
と言うではありませんか。
「『ナレッジベース』っていう言葉があるの!?」と驚きました。

そのキーワードで検索をしてみたら、とても良いサイトが出てきました。
そのサイトは、【設問】〈結果〉〈動作〉〈きっかけ〉→→【答え】〈対策〉
という「4つの大分類」の枠があり、その枠の中で「階層」ができていたのです。

夫は大興奮。「最初に出てくるのが〈結果〉。これがポイント! だって普通のサイトだと、『◯◯をするには〜』という〈動機〉から始まっちゃってるでしょ。これが収束しない最大の要因なんだよ。質問者が言葉が足らなくても、〈結果〉から見ることで、質問のルート取りができる。〈結果〉を先に出して、あとは〈動作〉〈きっかけ〉と大分類で制限をかけることで、フローの階層が深くなりすぎないようにしているんだよ」。
Webサイト構築では、サイトとして〈収束する〉ことが大事なんですね。納得。
フローチャートは、設問が明確でないものに関しては、収束より拡散に向かってしまう。
発想法を広げるときに使われる「マインドマップ」と同じ働きになってしまうのですね。

実は私も意識せず、〈結果〉から始まる表を書いたことがあるのです。
ある大手電機メーカーで「機械オンチユーザーが理解できるマニュアル作りとは?」という講演をしたことがあります。その時私が決めた大テーマは、
『ワタシが主人公のマニュアル』でした。ワタシというのはユーザーです。機械のマニュアルって、機械目線から見たものが多いんですね。
注意書きが「注意」「警告」別だったり、「ヒーターでは◯◯しない」「排気口では◯◯しない」と機械の種類別に項目分けをして書いてあったりする。これではお客さんは、自分がどうすれば良いのかわかりにくい。
講演ではパワポで表を作りました。「置かない/金属類、花ビン」「触れない/幼児の手」「使わない/◯◯と一緒に使用しない」というふうに、『ワタシ(ユーザー)がする動作』を基準にした表にしたのです。

その時に話したのは、
「ユーザーは、『自分の身がどうなるか』にしか興味がない。だから『結果』を示すのが先!」。

機械の知識がない自分だからこそ、「〈結果〉を先に!」という持論が展開できたんでしょうね(……今考えると技術者の方に恐縮してしまいますが)。

でも、何かのチャートを書くときには、〈結果〉という枠は、とても大事なのだと改めて思いました。

【その2 に続きます】
posted by 渡辺由美子 at 19:20| Comment(0) | 考察