2013年05月26日

クールジャパンと長期視点

ロボット・産業デザイナーの園山隆輔さんとTwitterでやりとりをして発見がありました。

園山さん:昨夜TVで、多くのスポーツ選手やチームがスポンサーがつかなくて資金面で苦労してるってやってたけど、それでも東京にオリンピック誘致なのね。
「一番の価値を生み出してる本人たちに対価が回ってない」という意味でクールジャパンと似たような歪さを感じずにはおれないね。

そこで私はたずねました。
渡辺:もしかして東京にオリンピックが来たらスポーツ選手のスポンサー増えるかしら?

園山さん:そうだといいんですが、無計画に企業任せにしちゃうと刹那的な効果しかないような気が…文化として長期的にどうしていくのか、っていうビジョンがスポーツにもマンガ・アニメ・ゲームにも欠落してるんじゃないかなあと。

渡辺:そうか…「文化として長期的にどうしていくのか」ここが欠けているから、ソノヤマさんも、他の皆さんも頭を悩ませていらっしゃるのですね……! 私は時間軸の認識が甘くて、すぐに「器を作ってみればいいじゃん」となりがちで。悪い上司タイプですよね。勉強になりました!

園山さん:国が口や金を出す以上は、個人や企業で対応できない時間軸で理念を語ってもらわないと意味がないんじゃないかと思うんですよね。そこまで語ってこその「文化」なんじゃないのかなあと。

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園山さんがおっしゃった「長期的視点」。
そのおかげで、「クールジャパン戦略」の困難さについて、ようやく少しまとまりました。

アニメで聖地巡礼などの町おこしはできるのに、「クールジャパン戦略」に対してはものづくり現場から反対の声が上がっています。
なぜそうなるのか。クールジャパンという戦略の立て方自体がとても難しいものなのだなと思いました。
クールジャパンがやろうとしていることについては、「民間企業」の協力が必須。
民間の利点は、利益を追うために「効果がすぐに出やすい」こと。これは国や公的機関ではできないことです。
ところが、民間は、効果がすぐに出やすい反面、短期的収益を求める特性があります。
そうでないと会社は回っていかないですからね。

逆に、長期視点を導入できるのがクールジャパン戦略、国や公的機関のメリット。
短期収益の視点にとらわれず、長期的視点でのビジョンを提示することができるんです。
長期的な取り組みができない民間に対し、長期視点から民間に影響を与えることが国・公的機関の役割なのだと思います。

……でも、短期収益で動いている組織を、長期的なビジョンだけで「協力してください」と言っても、民間は困りますよね。協力するリスクは自分たちが背負うの?いつ回収できるかわからないもののために自分たちが“持ち出し”で協力するの?って。
(クールジャパン推進会議での秋元さんの発言に対する現場の怒りはそこだと思います)

でも、「現場はこうなんだから役人は出て行け」という言葉も、ちょっと視点が「短期」に寄りすぎているのかなと思います。(私は現場の人間ではないので非常に失礼な言い方で恐縮ですが…)

私も取材をさせていただいたのですが、現場の方々だって、自社にも業界にも長期視点での戦略の必要性、実現の必要性は充分に感じていらっしゃいます。だけど、その長期戦略を取るためのコストは払えない。

だから「足がかり」が必要。
今のクールジャパン戦略には、長期視点と現場とのアクセス――「足がかり」が足りていないのだと思います。
どんな「コト・モノ・イメージ」を足がかりにするのか。
コトだけでも、モノだけでも、イメージだけでもだめで、三位一体になるような足がかりが良いのですが。
それは“お役人”が考えるだけじゃなくて、ものづくりの現場も、ものづくりを愛しているお客さんも、みんなが考えればいいんじゃないかって思うんです。

「長期視点」と「現場を俯瞰から見てみる」というのは似ている気がします。どちらもロングレンジ(長距離)ですよね。
私などはつい視点が対象に寄りすぎて、俯瞰で見ることは後天的に学んだのですが、長期視点という時間軸的なロングレンジも獲得しなければと思いました。

「◯◯戦略」と言った場合、俯瞰から見るトップダウン視点と現場から見るボトムアップ視点の両方が必要で、ひとつの事象について両方にフォーカスを合わせて見ることが大事だなあと思います。
そしてトップとボトム、双方に自在にアクセスできる視点の獲得が一番大事!
あと、ゴールを決めたら、そのためにはどうする?、それを実現するためにはどうする?って見ていくこと。難しいけど。……だんだんロジカルシンキングの受け売りみたいになってきちゃいましたのでここまでで。

だから私は「取材」に行こうと思いました。私自身は、現場の人でも、戦略を作る人でもないから、それぞれの現場を見たり、人に話を聞いたりして取材する。
重要なのは、取材を行う私の脳内にトップダウンとボトムアップ、双方のアクセスの「視点」がそなわっていることなんですね。
取材とかインタビューというのは、誰が聞いても一緒にはならないのだと思います。
私は私なりの「視点」で切り出して多くの読者の方に見ていただくことが、少しでもカルチャーに貢献できる方法なのかなと思いました。

posted by 渡辺由美子 at 13:43| Comment(0) | ビジネス

私の今の立脚点(ものづくり現場とお客さん、マーケティングへの関心)

私は、アニメなどのカルチャー系のライターをしています。
以前は日経ビジネスオンライン、今はASCII.jpでアニメとビジネスを結びつける連載をやっています。
http://ascii.jp/elem/000/000/574/574596/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080811/167691/?rt=nocnt

アニメの監督やプロデューサーに取材して、「ものづくり現場の作り方」や、「お客さんがどんな意識で作品を見ているか」、「コンテンツをどんなふうにお客さんに届けていくか」をおうかがいしているうちに、マーケティングにも興味を持ちました。

イメージをどのように形にして、制作現場でどのように管理とクリエーションを両立してどのようにお客さんに届けて、楽しんでもらうか。
日本のアニメーションの現場は、今の日本のものづくり現場、イメージ産業のひとつの雛形になると思っています。
アニメは作り手と受け手の距離がとても近いことがメリットで、生産者と消費者が一緒にひとつの場所を育てて、その場所が豊かになって広がっていくようにするにはどうすればよいのかなと考えています。

最近まで、マーケティングの書籍を制作するために編集さんと取材をしていたのですが、書籍自体は残念ながら出せなくなってしまったのでした。
この先もこうしたテーマを続けて勉強して、何かの形にしたいと思っているのでした。

posted by 渡辺由美子 at 12:59| Comment(0) | ビジネス